FE103のバスレフ考
(2010.05)
鳴らし出して 約半年ほどで落ちついてきました。 今のシステムは このFE103とALTEC
CD308 と 6BM8シングル(TU−870改 約1W+1W)に、こちらは 6BM8差動pp(3W+3W)に気分により切り替えています。
いずれも、小出力の真空管アンプですが、いずれも十分な音量は確保できています。 昼間は バックグラウンド程度の音量で、夜になり仕事が終わると 近所迷惑にならないように「窓」「扉」を閉めて 好きな音量で愉しんでいます。
慣らし運転も終わったのでしょう これは 一丁前の音が出ています 、音楽性豊かな「フルレンジ」として、芯のしっかりした音です。
大きなSPは置けないので、もっぱら小口径になります。 小口径といえば 巷で好評なのがFE83です。 しかし 83は「低音はあまり出なく、高音が強い」 です。
となりますと 考えつくのは FE103です。 このユニットはFE83よりも控えめな高域、専用ウーファーには負けますが 音楽性豊かなフルレンジとして しっかりと鳴っています。
巷では 低音が出ないユニットと云われています。 たしかに 38cm、76cmのような風圧は出せませんが、 箱しだいではけっこう鳴ってくれます。
子供達が吹奏楽をやっているため コンサート会場には行きますが、あの雰囲気は十分に出せます。
これより大きな FE167も 良い選定だと思います。 低域は無理なく出ますし、能率も高いので、小出力の真空管アンプでも、楽にドライブできます。 ちょっと 箱が大きいので選択からは外れました。
そして 現行品で安価なのも 大切な選択点です。
ここでは 簡単に作れて 程々の音が出て メインとして使える物を目指します。
「10cmユニットで こんなに低音が出るよ」は無しです。
普段の生活空間に違和感の無いくらいの適当なサイズのキャビネット約6リットルのバスレフで、程々にまともな低音が出れば良いのです。
床を震わすような低音は望んでいません。
2wayには負けるだろうが
低音の延び、豊かさ、高音の切れ 全体の抜けの快さは よくできた2wayには負けます
これは どんな フルレンジでもかないません 2wayは専用のユニットですので 「あったりまえだ」なのです と思っています
それでも フルレンジの快さは何かというと 中域の充実とバランスの良さです。 それなのに「低域」と「高音」を求めるのは、時間とお金の無駄になります。
「低音」を求めると 口径の大きな物か複雑なキャビネット、「高域」を求めると 小口径 となります。 自分がどの辺で折り合いを付けるかになります。
家庭で使える音量って?
能率は89dB[w/m]ですので 2m離れても 1W程度の真空管アンプでも かなりの音量は得られます。
家庭で使うには 大きさ、音量、音質ともに 十分な物かと思ってます。 しかも このお値段です。
1Wの出力というと 小さいと思われるでしょうが みなさんのお宅では いかが でしょうか? テレビの音量を最大にしてもクレームは出ませんか?
実は このユニットを使うのは30年ぶりでして、 マイナーチェンジはしているのでしょうが ロングセラー、息の長いユニットですね
このころのSPで残っているのは皆無です。 三菱P610、パイオニアPE16、コーラルしかり みな淘汰されています
今でも 販売されているって事が 多くの方の共感を得られている証拠で、このような物こそ「名器=スタンダード」というんでしょう。
あたりまえのバスレフでいこう
小音量でも低音を稼ぐなら「ダブルバスレフ」 が いいし
大音量でガンガン鳴らすなら「バックロード」 作ってもないのに文句は言えないのですが、あの複雑さは・・・・
いずれも 工作が面倒で、大きいので置き場所が無い(四畳半〜六畳間が終の棲家か?)、貴重な時間と資材を使うため、リスクを避け無難なバスレフとしました。 前記のような背景もあります。
まずは 試験的に
手持ちのFE83用の6.8gバスレフに、ボアアップして換装しました。(内寸法 H229、W160,D188mm)
ただし このままでは ポートのチューニングが合ってないので、工作しにくいスリットダクトを塞ぎ、側面に角形ダクトを開けました。
ポートの設定は 欲張らずに 75Hzか85Hzです。 これは鳴らしてみて決めましょう。
口径4×2.3センチメートル、長さ48mmで 78Hz(ほんとかよ)で落ちつきました。
コツは スリットダクトは 工作が楽そうですが、精度出しがむずい。 かえって角形ダクトの方が精度は出る、長さで調整できる。
材料は 4面とも ナラ材(厚さ14.5mm)、横板は南洋桜(厚さ13mm)です。
手に入りにくいと思いますので 合板を使ってください
試作はでき さて 本番は
鳴らしこんでいきますと、これは もう いい音で もう このままでいいよねと 簡単に手打ちとなりました。
比較的 コンパクトに出来ました。 使う上で 無理がありません。
出てきた音は 最初は固いなあ と思ってましたが 半年ほど鳴らしこんでいきますと 結構 潤いのある音になって来ます。
昔は フォスターというと 紙臭い感じがしましたが 今は良いですね。
低音は 先の話のように あまり下の方まで欲張らないようにして 80Hzあたりで手を打ちましょう。 この80〜120Hzは 低音が出ていると感じさせるポイントになります。
バスレフのため 小出力でも 柔らかみのある低音が出ます。
腹にズンと響くことはありませんが、ベースのうなりも結構再生できます。
人の声のある中域は張りがあり いい響きを効かせてくれます。
「シャルル・アズナブール」を聴きながら これでいいのだと
このユニットはもっと評価されていよい物だと思います。 そして 多くの方にも 製作をして 欲しいと思いました
スピーカーの自作は 箱の自作です。 これってかなり直感的なので 敷居が低く、誰でも入っていけます。 ところが アンプの自作になりますと 工具も違い、専門知識が要求され、敷居が高くなります。 今回 紹介しました TU−870(R)真空管アンプは エレキット社から出ているキットです。 価格は約2万円と電子工作のビギナー向けの商品で、誰でもが組み立てられるようになっています。 また ネット上でも 「その製作レポート」は すごい★の数ほど掲載されていますので 安心して 組み立てられます。
しかも、ビギナー向けの入門用とはいえ その品質、音質は
かなりのグレードで 「 もっと 早く買っとけば良かった
(TT) 」 と 恨めしく思うことは 請け合いです。 これを 改造すると もう あなた ・・・・・・生涯 これでいい。
スピーカーもアンプも 「人民元」の安い今のうちに どうぞ
今では TU−870 もしくは 差動アンプ との組み合わせで メインシステムとなっています。 これって 安価でも かなりの高品質なシステムが作れますよ。
こんな流れです。
CD ⇒ PCのCDからwavファイルでHDDへ⇒ USB経由でDAC(1万円) ⇒ TU−870(2万円) or 6BM8差動アンプ(4万円) ⇒ FE103(1.5万円)
次の構想は
FE103の2本付けです。 たぶん これで だいぶ中低域が張ってくるのでは と期待していますが、さて 何時に鳴るやら。
ご静聴 ありがとうございました