14GW8(6GW8)は6BM8用の基板でも動作するのか? 〜〜〜 14GW8で差動アンプを作ってみよう

2010.02

6BM8用の差動アンプ基板を使って、14GW8の差動アンプを 作ってみました。

換装は簡単に出来まして、今 鳴っています。 

今回はその製作記です。

 

変更点は 「ピンのレイアウトの違いをジャンパーする」 「ヒーター電圧を14Vに変更するため、トランスを追加した」 「C電源の平滑コンデンサの耐圧アップ」です。
回路、部品(乗数)はそのままです。 

6BM8に比べますと、華やか、低域に力がある、という感じです。 差動アンプの繊細さ、音の広がり、弾みは変わりません。
試聴していて、手前味噌ですが、どちらも、実にいい音ですね。 音楽を楽しめるアンプという実感です。

既設のケースに無理やりトランスを追加してますが、心配していました無事誘導ハムも無く、静かなアンプにできました。

判ってます ベニヤ板のケースのセンスが悪いです、時間ができたら もっと綺麗な板で作り直します

 

 

□14Gw8とは
12AX7と6BQ5が合体したような物です。 PCL86という 欧州名です
手に取って見ましても、2種類の管が合体した物なのが良く分かります。

3極部は6BM8よりはμは100と高く 、5極部も3結でもμ=14.8と使いやすそうです
プレート損失も9Wと大きく、6BM8より高感度、大出力ですね。 

ヒーター電圧が公称14V、0.3A ということですが フィリップスのPCL86データシートでは13V,0.3Aとなっています。
けっこう幅がありそうです。 このあたりが?です。 何のための14Vなのかが判りませんが、「車載用」と云われると納得できます。
ヒーター電圧が6.3Vの 6GW8 もあります。 ただし これはとても高価です。

この変なヒーター電圧のおかげで、球の中身はかなりまともなのに「使いにくい球」の烙印を押されているようで
おかげで安いです サンエイ電気で450円、10本なら400円です(2010.01)

以前、6BM8差動アンプの基板を企画する時に、「ぺるけさん」から14GW8対応の仕様も勧められまして、その時も、ピン配置をジャンパーすれば、回路は共通に出来る。部品もほぼそのままで使える のが判ってましたが、試作はしてませんでした。

最近 基板を買っていただいた方から、14GW8も検討しているとのお便りもあり、自分でも試してみることにしました。

 

□ 6BM8から14GW8への変更の検証

○ 先ほどの ピン配置が違うのは ジャンパー線処理で行います。
○ 回路部品はそのままで やってみて、後で たぶん3極部の抵抗を100k〜150kで振ってみる

○ ヒーター電圧は、ヒータートランスを追加して、6.3V+6.3V=12.6V 1次側を90V端子に100Vをつなぎ約14Vにする。
ただし、当店は Acが106Vあるので そのままでも 13.3Vあるから まあ いいか と 安易に

□その準備
出力トランスを、現行の6BM8機と比較するため同じ東栄のトランスに変更しました。

□ソケット周りの製作
この2本の管の配線の違いは 2,3,7,8ピンです。 配線の変更は、ソケットの足を持ち上げて、ジャンパーしました。

    6BM8基板⇒14GW8ソケット
    ランドA ⇒ F PG3,PK : 5極部カソード
    ランドB ⇒ G PG1   : 5極部第1グリッド
    ランドF ⇒ B PG2   : 5極部第2グリッド
    ランドG ⇒ A TK    : 3極部カソード

     

    4個もあるので、配線を間違えにくいように、ぱっと見て判るように、全て同じ色の線を付ける。 電線長は7cmにカット

   

      ソケットを固定してから、ジャンパー線を接続する。

管には「ユーゴスラビア」と印刷があります。 まだ、ユーゴが有った頃の品でしょうね 

★ ソケットを基板から剥がすのは大変なのです。  そこで 剥がさずに、パターンも綺麗に使うための方法としての提案です。

@足を基板のすぐ上でニッパーなどで切ります

A切った足を上に跳ね上げ、ジャンパー線を付けます

B基板に残った足の破片を除き、スルーホールの半田を抜きます

Cジャンパー線を所定のスルーホールに半田付けします。

切断するのがキモですね。

 

□ヒーター回路の検証
AC6.3Vを直列にして 12.6Vにしました。 作業場はAC106Vあるので、実測で13.8Vでしたので、これで良しとしました。
試作アンプのトランスには6.3Vが1つしか無いので、6.3Vのヒータートランスを追加しました

□測定   入出力特性と、周波数特性を測りました。

0.4Vで2.5W取り出せます、曲がり具合からみてそのままでも3W程度まで使えそうです。 

周波数は、30KHzから15Hzまではほぼフラットです、それ以下は計れませんでした。

D.FはON/OFF法で約3でした。

 

 

 

□各部の電圧 ヒーター電圧:AC13.8V  出力部B電源:266V 出力段共通カソード電圧:7.7V , 7.9V Pc≒7W
          初段電源:255V プレート電圧:V1=151V,V2=171V,V3=159V,V4=163V プレート抵抗は100KΩですので、各管とも約1mAですね。

□発振はしてないか
入力VRを上げていきますと、8μの周期で発信しています。約125KHzです。
6BM8よりも利得、内部抵抗が高いので、発振はし易いです。
さて、その対応は プレート−GND間に付けた5pFを+5pF追加して10pFで止まりましたので、これで吉とします。

□トラブル
1.電源を入れて、暖まってくると「ジジジ」と異音が発生しました。
見直してみても、配線はOKです。 思い当たるところで、C電源の平滑コンデンサの耐圧が16Vだったので、手持ちの47μ350Vに変更しました。実際は 35V品でOKです。

2.SPを繋ぐと、Rchから「ぶお〜」と盛大なハムが発生、VRに関係なしですので、目視で追って「配線ミス」出力トランスの2次側が反転してまして、「正帰還」になってました。これは入れ替えてOK。

   

 全体像です 右側の6BM8用電源トランスをめいっぱいずらして、空けた部分に斜めに着けてあるのが追加した東栄のヒータートランス
 この隙間ですので、配線してから、ネジ止めします。

 

□考察
○14GW8は安いが、簡単に差動アンプができる。 パワー、利得ともに一回り上の実力派の球です。

○6BM8の回路常数でも、まま、そのまま使える、(ヒーター電圧を除く。)

○そのまんまだと、プレート損失などゆとりを保った使い方になる。⇒ 長寿命が期待できます

○利得が高いので、アンプとして使いやすい、6BM8はちょっと低いのが弱点

○差動の快さはしっかりと受け継いでいる。(差動アンプなので当たり前です)

○6BM8より、豪快な音がするような気もするが、・・・びみょ〜

○電源を入れたときピカッとヒーターが光るのが心臓に良くない。

◎ とても 高感度な球です
前述の測定値の共通カソード電圧が なんと−7〜7.8Vです。 これって、すごいですね。  6BM8で-16V程度ですから、2倍以上は感度が良くドライブが容易なところへもって、同梱の電圧管がμ100ときてますので、2段式でも余裕でゲインが羨ましいくらい稼げます。
 こんな管があったとは・・・6BM8のように最初から復合管として設計した物ではなく、どこかの良いところの2つのユニットをアセンブリしたものです。 こんな 素晴らしい管がヒーター電圧だけのために・・・・ もったいないです。

□□□ 復合管としては最高性能の物だと思います。□□□

★ まだまだ 出せるパワー
現行27mAでPc=7Wで押さえていますが、この球は最大Pc=9Wですので、もっとIpを増やして上げれば、まだ 上げられます。 ただし、電源トランスの容量にご注意ください。

★ 余裕のあるゲイン
感度が高いので、総合ゲインに余裕があります。 このため、初段の動作点をいろいろ変えられますし、NFB量も変更できます。
2段式ですので 初段の動作点を変えると音質は、かなり変わると予測できます。
これは6BM8では ゲインがぎりぎりですので、できませんね。

 

★ もっともっと使われて良い「名球」だと思います。
手にしてみると判りますが、電力管と増幅管のユニットがガラスの中で合体しています。 これって両方のユニットを作らなければならなく、倍の手間がかかるんですね。 
入っているユニットも素晴らしい性能で、これ2本だけでAB級PPで10W程度のアンプが余裕で簡単にできます。
6BM8よりも扱いやすく、性能も上位だと思います。 ただし、音質は6BM8の方が好きです。

 □□□ この球は6BM8の替わりは出来ますが、6BM8はこの球の替わりはできません。□□□ 

 

▲▲ただし とてもマイナーなので、将来的には入手が思いやられる。 たぶん、こんな値段じゃ作る気なんて起こらないから、もう作っていないでしょう。
将来、「銘球」として復活することも生産する事もなさそうだし、今、流通している在庫物でおしまいかな。

 

□ プリント基板の案内はこちらへ ⇒ 6BM8,14GW8(PCL86)を使った2段差動アンプ プリント基板の単品販売です。

□リンク これまでの先達方の記事です。
「PCL86全段差動PPアンプ製作」http://www.kleiber.org/audio/pcl86-def-pp/
「14GW8(PCL86) PP パワーアンプの製作 (1)」http://blogs.yahoo.co.jp/woodbell_136/31691016.html
「PCL86全段差動(トーンコントロール付き)」http://park21.wakwak.com/~eyp/jk1eyp/amp/PCL86main/PCL86PPDEF/PCL86PPDEF.htm
「PCL86 全段差動 PP アンプ」http://akiba.geocities.jp/goroppun/PCL86PP.html
勝手にリンクしています